百合の流行について

 ここ数年、百合ブームが到来している。アニメ、漫画だけに留まらず、最近ではソーシャルゲームでも見かけるほどである。では何故百合が流行っているのだろうか。

 

 80年代のSFブーム、80年代後半から90年代のオカルトブームを越えたゼロ年代ラノベ原作アニメや部活動アニメ、日常系アニメが増加した。ゼロ年代の流行の延長上にあるのが「けいおん!」と言えるだろう。ライトノベル原作アニメはいわゆる「異世界系ラブコメ」が多く、主人公(男)とヒロイン(女)の恋模様が描写されているのが当たり前だった。そんな中で放映されていた百合アニメが「マリア様がみてる」や「Strawberry Panic」である。どちらの作品も綺麗な百合が描かれた作品で、ユーザーが「百合を楽しむ」という作品の読み取り方を知るきっかけになった。だが、百合を楽しむようになったのはアニメユーザー全体から見れば一部の層のみであった。そのため、男キャラがほとんど「けいおん!」を観て百合に繋げるユーザーは少なく、自分×推しキャラで楽しむ人が多かった。                                                                     

 世間的な百合ブームは「ゆるゆり」から始まったと言われている。ゼロ年代の日常系アニメ、部活動アニメ、特に「けいおん!」の流れを汲んで2011年に放映された「ゆるゆり」はゆるい内容と可愛いキャラ、「マリア様がみてる」や「Strawberry Panic」に感じられた敷居の高さのようなものが無くなり、多くのユーザーが百合に触れた。百合というワードがアニメユーザーの間で浸透し始めた時期ということもありヒットした。それ以降女性キャラしか登場しない日常系アニメ(いわゆるきらら系作品)の流行等を経て今に至っている。

 

今となっては男性が楽しむコンテンツとして見られがちな百合であるが、元々は女性ユーザーの方が多かったとされている。腐女子のみなさんが百合好きを兼ねていることが多く、百合姫の読者数の男女比が2:8だった頃もあるくらいである。どうして男女比が逆転するほど男性の間で百合が流行することになったのだろうか。その背景には「男らしさ」が嫌いということがある。オタクというのは一般人よりも自分に自信がない人が多く、特に「男らしさ」を発揮することが要求される恋愛面でそれが顕著である。百合であれば異性間の恋愛のような「男らしさ」を彷彿とさせるような描写は少なく、より対等な恋愛を楽しむことが出来る。また、百合であれば処女が守られるから処女厨の多いオタクの間で流行ってるという意見もあったが論理が飛躍しているように感じられたためここでは深く掘り下げないことにする。

 

好きなアニメの百合同人を探して広大なネットの海を渡り歩いていたあの頃と比較すると百合に対する偏見はかなり減ったと感じる。様々な百合を楽しむことが出来る毎日が嬉しくもあるがひっそりと楽しめた以前のままで良かったと感じることもある。