舞台「やがて君になる」感想

 やが君の舞台を見てきました。

 行くことを決めたのはGW前。原作7巻と番外編小説の発売を受けて、自分の中でやが君ブームが再燃。舞台にも興味があったので、観に行くことにしました。

 

人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える小糸侑は、
中学卒業の時に仲の良い男子に告白された返事をできずにいた。
そんな折に出会った生徒会役員の七海燈子は、誰に告白されても相手のことを好きになれないという。
燈子に共感を覚えた侑は自分の悩みを打ち明けるが、逆に燈子から思わぬ言葉を告げられる──
「私、君のこと好きになりそう」                        公式サイトから引用

 

百合ブームの一因となった作品と言われています。原作は漫画で、去年アニメも放映されました。

 

  • 感想

 アニメ舞台は、どうにも実写映画のようなイメージを持っていたため、実のところそこまで期待していなかった。さらに言うと、実写映画>舞台とまで思っていた。なぜなら、登場人物の感情を表現するために使えるものが減るからだ。

 アニメは登場人物の表情の変化や、背景の変化を生かしやすく、観客も理解しやすい。また、6時間(30分×12話)以上の時間を使って表現することができる。

 実写映画は2時間~3時間といった限られた時間の中で表現しなければならないだけでなく、初めてその作品に触れる人への配慮も求められる。重要なイベントを削ってしまったり、オリジナルストーリーを展開してしまったり、原作のファンから反感を買うことも少なくない。そんな実写映画にも利点はある。「現実を扱える」ということだ。良い作画や3D技術を駆使したとしても、本当の人間が演じる表情の変化には勝てない。背景や小道具にも質感が生まれる。(それが違和感の原因となってしまうこともあるが)

 舞台は実写映画よりも感情表現が難しい。なぜなら、演者の表情が観客に見えるとは限らないだ。実際、今回の会場でも演者の表情の変化まで追い切れたのは4列目ぐらいまでだと思う。良い席を取ればいい、双眼鏡等持ち込めば良いと言われてしまえばそこまでだが、半数以上の観客は演者の表情の変化を読み取ることが出来ない。動きや声の抑揚を上手く使うことが求められているのだ。ステージ上では背景や使える小道具も限られる。テニプリやとうらぶ等動きが派手な作品は舞台でも楽しめそうだが、今回のような感情の変化を楽しむような作品には向いていないと考えていた。

 

実際に観て、驚かされた。声と演者の動き、音楽でここまで感情を表現できるものなのかと。声のトーン、抑揚、大きさを変化させ、喜怒哀楽を完璧に表現していた。音楽や照明も心を揺さぶってきた。6時間の内容を2時間に纏めていたため、やや駆け足になっていた部分や原作との違いはあったものの、一番重要な劇中劇の部分はとても丁寧に描かれており、作品への愛を感じた。

 

もし機会があれば、アニメ舞台に限らず、様々な舞台に足を運ぶのも良いかもしれないと思わされた2時間だった。